上品な茶色のロマンスカー!!【小田急30000形EXE乗車記】

    新宿から箱根・江ノ島方面に路線が伸びている小田急線には「ロマンスカー」という特急列車が走っています。

    今回はそのロマンスカーの1形式である、茶色いロマンスカー「30000形 EXE – エクセ」について紹介していきます!

    茶色い塗装の落ち着いた外観

    小田急線の起点は新宿駅。新宿駅は地上3線(急行ホーム)・地下2線(各停ホーム)に分かれています。ロマンスカーは地上ホームのロマンスカー専用ホーム「2番ホーム」に入線します。

    入線してきたロマンスカーは「30000形 EXE – エクセ」です。

    30000形は10(6+4)両×7編成が製造されました。2022年11月現在、うち5編成がシルバーのEXEαにリニューアルされているため、茶色のEXEは2編成のみとなります。

    前面にはLEDで列車名が表示されます。後に製造された、50000形VSE・70000形GSEやリニューアルされたEXEαでは前面のLED表示器は設置されていないので、今後は設置されていることが珍しくなるかもしれません。

    中央にはEXEのロゴが配されています。

    車体側面です。茶色の車体に黒塗りの窓枠で落ち着いた塗装、そこに赤色の縦帯がアクセントとして配されています。

    側面に配されている赤帯がないタイプのEXEロゴ。EXEは「Excellent Express」の略です。スリットが入った黒文字でセンターラインの部分が赤くなっています。

    新宿駅にあるEXEの乗車位置目標。リニューアルされたEXEαはシルバーの車体ですが、乗車位置などの案内はまだ茶色のものが使用されています。今後、シルバーのEXEαに統一されると、このような案内もシルバーに統一されるのでしょうか。

    6両と4両編成に分割できる

    EXEは10両編成ですが6両+4両に分割して運用できます。

    新宿を10両編成で出発し、相模大野で6両の箱根方面行と4両の江ノ島方面行に分割したり、需要の少ない日中には6両編成のみで運用したりなどという運用がなされています。

    分割できる6・7両目の先頭車は少し変わった顔つきとなっています。全体の雰囲気は1・10号車と変わりませんが、貫通路があるために列車名表示とロゴが右寄りに配されている他、前面の傾斜角度がかなり抑え気味になっています。

    落ち着いた雰囲気の車内

    こちらはデッキ部分。車内は落ち着いた色のトーンでまとめられています。片開き式の扉には扉中央部にEXEのロゴが配されています。

    こちらは客室部。天井の間接照明が上品な空間を生み出しています。客室内の照度は暗めですが、スポットライトも配しているため、暗すぎるといった印象はないです。

    座席は背もたれが分厚いものとなっています。新宿から箱根湯本までは1時間以上乗車することになりますが、疲れることはありません。

    シートピッチは1000mmとなっています。この数値は近年のJR東日本の特急車両の標準値である960mmよりは広いですが、座席が分厚いのでそこまで広くは感じられません。

    座席間の中央にひじ掛けはありません。これは他のロマンスカーと同じですね。

    ヘッドレストには控えめにEXEの文字が配されています。

    リクライニングは写真の状態が最大であってあまり倒れません。ただ座り心地は悪くなく、そこまでマイナスポイントにはなりません。

    座席の背面に設置されているのはネット収納のみです。テーブルはひじ掛けの下に収納されており、向い合せにしても使用することができます。

    車内販売スペース

    ロマンスカーでは近年まで車内販売を行っていました。

    EXEでも3号車と9号車に車内販売スペースを設けています。現在は車内販売は廃止されてしまいましたが、使用された機材は残っています。自動販売機は使用可能です。

    カウンターにあるビールサーバーやコーヒーマシン、電子レンジは撤去されずにそのままの状態で置いてあります。もう使われることはないのでしょうか。

    前面展望は見れるのか

    先代の7000形LSEや10000形HiSEでは運転席を2階にあげて展望席を設けていたほか、20000形RSEでは客席の高さを上げた、ハイデッカータイプを採用して前面展望に配慮していました。EXEではどうでしょうか。

    先頭車の運転席後部はデッキではなく必ず客室となっていて、座席が配されています。設計自体も前面展望できることを意識したのか、ガラス張りとなっています。

    ただ、運転席が高いため、視界はあまりよくありません。左側は運転士が影になり、前面展望はほぼ不可能です。右側の助手席にある椅子は座ってみたいは是非座ってみたいところ…。

    迫力のある10両編成の特急車両と車窓

    私鉄の中で有料の特急車両が10両という長い編成で運転されているは珍しいです。西武は8両編成、東武は6両編成、京成は8両編成などなど。他に10両編成の特急車両が走っているのはJRを除くと近鉄くらいでしょうか。

    小田急線では少しきつめのカーブがいくつかありますが、編成が長いので後ろの車両に乗ると前の車両を見ることができます。

    小田急線の車両形式は種類が多く、ロマンスカーも最盛期よりは種類を減らしましたが、それでも他の私鉄会社よりは多くの特急形車両が運転されています。すれ違う本数も多いので、見ていて飽きません。

    日除けはカーテンを採用しており、ロールカーテンのレールがないので、大きな1枚窓から景色をよく見ることができます。

    総評

    個人的には外観の落ち着いた茶色の車体とEXEのロゴデザインがこの車両の好きなところです。7000形のオレンジ、10000形の赤色、20000形の水色といった感じでこの車両が登場するまでのロマンスカーは明るい派手な塗装を採用していましたが、この30000形で新しいデザインの流れができた気がします。

    この後に登場した50000系も白一色の車体となっていて、派手というよりは落ち着いた雰囲気にまとまっています。
    ちょっと暗めの客室も落ち着いた雰囲気で結構好きです。

    残念な点としては、座席間のセンターアームレスト(ひじかけ)がない点やドリンクホルダーがない点など、座席周りの設備が不足しているというところでしょうか。

    EXEの前に登場したロマンスカーは主に観光客を対象に設計されていましたが、段々と「日常・通勤利用」が増えてきたということで、それにも対応可能なように設計されて登場したのがEXEです。

    日常・通勤利用者が増えるということは「一人での利用」や「短距離での利用」が増えるということです。私の主観ですが、そういった面で考えればセンターアームレストは設置するべきですし、テーブルを出さずに飲み物だけ手軽におけるドリンクホルダーは設置すべきではないかなと感じます。

    少し辛口になりますが、結局、日常・通勤利用に対する処置が20m10両編成化(それまでの特急車は20m7両程度の編成長しかなかった)による定員増のみにとどまっていて、それでいてロマンスカーの特徴であった展望席は廃止してしまったので、客室設備の面で見ると中途半端になってしまった感は否めません。

    ただ、10両編成化による定員増のみにとどまったとはいいましたが、これはこれで非常に大事なことです。定員に余裕を持たせて、乗車できる機会を増やし、利用者にとってロマンスカーの存在を身近なものにしたことは立派な功績です。現在の平日夕ラッシュ時を見ると、6両や7両で運転されるロマンスカーは基本満席になっていて、10両の車両は空席が確保されています。

    2022年12月現在、30000形EXEはEXEαにリニューアルされている車両が多く、2編成残っている無印EXEについては少しレアになっています。今後どうなるか分からないので、なるべく早めに乗っておくことをおすすめします。

    乗り心地は結構いいので、みなさんも小田急線に乗る際は是非EXEに乗ってみてください!